記念日ディナーに、プロポーズに、最高級フレンチレストランは最も適した舞台とも言えます。ただ、そんな二人きりのフォーマルな食事を経験しないまま40代を迎えてしまった男子にとっては敷居が高いもの。ここでは、そんな場面でもアウエー状態にならないための秘伝を紹介します。

アラフォー男子が陥りやすい、フランス料理での「アウエー」状態

未経験なのにノーガードで、ぶっつけ本番

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「キミの誕生日に、ジョエル・ロブション連れてってあげる!」とか軽く宣言してしまったアナタ。慣れないアラフォー男子がカッコつけて、つきあい始めの彼女をそういう場に誘ってしまった場合、まず必ず悲劇が起こります。
まさに、いきなり難関校の試験に臨んで、場の雰囲気に呑まれて頭が真っ白になってしまうようなアウエー状況に自分を追い込んでしまうことになるのです。

彼女が未経験でも経験ありでも、アラフォー男子にとってはアウエー

Waiter pouring champagne into glass
彼女がそういうお店に慣れていないとしたら、人生経験あるあなたが料理やワインの選択においてリーダーシップをとって、不明な点はウエイターやソムリエに聞いてくれることを期待するでしょう。ただ、それができないと「この人、いい年をして何をそんなにビビっているのかしら?」と感じ、あなたの株は下がってしまいます。
いっぽう、あなたと同世代の女子の場合は、そのレベルのお店は何度も経験ずみだったりします。そうすると、よほどの包容力のある彼女ならともかく、あなたがメニューを見て脂汗を垂らしていたら、その頼りなさにあきれてしまうでしょう。
結果的に、緊張感のあまり食事も会話も楽しめず、最後のお会計は数万円ってことになると、来た甲斐もありませんよね?

アラフォー男子がアウエーになる、つまずきポイント

メニューが読みこなせない

waiter giving menu to happy couple at restaurant
まず、料理のメニューです。8,000円のコースと10,000円のコースがあったとしましょう。じっと見ても違いもよくわからず、どっちを選んだらよいか悩み始めます。安い方を頼んだら貧乏くさいかな、とか感じながら、彼女を見ると、「これに決めたわ」とも言ってくれず、さらに焦ります。
たいていのフランス料理は、食材やソース、調理法に使われる用語の知識がない限り、メニューを読んだだけでは、どんな料理かわからないのです。

説明を聞いてもよくわからない

Atlantic blue lobster salad marinated on white plate in black ba
もちろん「これはどんな料理ですか?」と聞いたら、丁寧に説明をしてくれます。ただ、最高級店は、当然ながら他店では体験できない独創的な料理を提供しています。このため、聞いたところでどんな料理なのか余計にわからなくなったりします。難解な授業を聞き流しているがごとく、メインディッシュの説明を聞くころには、前菜の説明がなんであったか忘れてしまったりします。

ワインがよくわからない

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料理の前にまず、食前酒は何か、と聞かれます。よほどの通でもない限り、グラスシャンパンを頼めばよいのですが、ふだん居酒屋でとりあえずビールを頼んでいる男子にとって「食前酒」が何なのか知らなければ、ここもつまずきポイントになります。
そして、ワインについてもよくわかりません。1万円のコースを頼んだのだから、ワインも1万円以上のボトルを頼まないと恥ずかしいのかな、とそんなことばかりが頭をよぎります。

アウエーにならないための準備

初めから最高峰を狙わない


ミシュランガイドで複数個の星を取っているようなお店は、ディナーの場合、ワイン代を含めると2名で5万円では全然足りないくらいのお会計になります。ただし、宝石でもクルマでも楽器でもそうですが、値段に「比例」して品質がよくなるのは、あるレベルまでです。
確かに最高級店は、その地位まで登りつめただけの、食材へのこだわりや、店内の雰囲気のすばらしさはあります。しかしながら、いつ、どんな人が行っても完璧な満足度を得られる料理店などはないと考えましょう。よいお店でも、ネットに悪口を書いている人がいたりします。お客の側の価値観、経験、食の好み、その日に接客したスタッフとの相性などによって、得られる体験は微妙に異なるのです。

フランス料理に慣れておく


いずれにしても、初めて行くからアウェイになるのです。たとえば、ターゲットにしている彼女とは別の、フレンチ経験値の高い女性と行って、いろいろな知見を伝授してもらうのはいかがでしょう?その場で、あなたの服装や振る舞いにダメ出しをしてもらうこともできます。そんな人まわりにいない、もしくは、彼女とつきあい始めのタイミングなのに、さすがに他の女性とフランス料理を食べに行くのはマズイ、という場合は、食通のカップルと3人で行ってみるという手もあります。
また、彼女と行くにしても、最高級店よりも少しお手軽なお店で、前もってシミュレーションしておくだけでも相当違います。もしくはターゲットにしているお店であっても、少しでも値段がお手軽なランチにまず行ってみる、という手もあります。

記念日ディナーなら、お店に行って相談する


前もってお店に出向いて、今回の主旨を説明したうえで、メニューやワインについて相談してみましょう。
また、大抵のお店が記念日をお祝いする文字入りのデザートなどの演出サービスをしてくれます。さらに、彼女に渡すプレゼントを預けておいて、デザートのときにサプライズでそれを持ってきてもらうなど、そういうことを相談してみてもよいです。
彼女が大好きな食材があるなら、通常のコースを少しアレンジしてもらうのもよいでしょう。すべてのお店がそのような要望を聞いてくれるとは限りませんが、お客のわがままに応えることも高級店のサービスのうちですので、遠慮することはありません。
いずれにしても、前もって出向いておくだけでも、当日のアウェイ感を解消することができます。

東京都内でフランス料理を食べるなら、まずはここ

白金シェ・トモ ナチュラル キュイジーヌ

銀座に「シェ・トモ」という天井が高くて見晴らしのよい、いかにもデートに最適なフレンチがありますが、以前は白金のこの場所でスタートしました。
銀座に移転してからは、少し違うコンセプトの「アトリエ・ド・アイ」という店名で営業していましたが、2018年9月2日より、「白金シェ・トモ ナチュラル キュイジーヌ」として、銀座店に近いスタイルでリニュアールオープンしました。
ゴージャスな銀座店もおすすめですが、この白金のお店は、こじんまりしていて静かな佇まいなので、デートには最適。そして何と言っても、シェ・トモ名物のカラフルな野菜の盛り合わせがコースに含まれています。インスタグラムが流行る前からあったのに、いわゆる「インスタ映え」する逸品です。
※以下は銀座店のインスタより


値段的には以下に紹介するお店よりもお財布に優しいですが、雰囲気、料理、サービスとも申し分ありません。ランチもやっています。また、なかなかステキな個室がひとつだけありますので、ゆっくり食事を楽しみたいなら、予約をしてみてはいかがでしょう?
恵比寿、広尾、白金高輪、どの駅からもちょっと距離がありますので、これらの駅からタクシーがおすすめ。2軒目のお店としては、カジュアルに1杯やるならすぐ近くにある「きえん」、オーセンティックなバーとしては、白金高輪方向に数分歩いたところにある「Barトナリ」があります。
白金シェ・トモ ナチュラル キュイジーヌ

Ahill

アヒル、と読みます。
カウンターでシェフの調理する姿を見ながらの食事もできるほか、テーブル席もあります。最後に出てくるカレーがこのお店ならでは。ふつうのフランス料理のコースと違った体験ができます。
広尾、六本木、表参道、どの駅からもさほど近くない微妙な位置にありますが、このお店も、BAR酒場、Bar Rageなど2軒目には困りません。
Ahill

モレスク (MAURESQUE)

大袈裟なコース料理でなく、アラカルトの料理とワインを楽しむなら、ここ。
白金のプラチナ通り沿いにあり、店内の雰囲気も落ち着いています。
その日のお勧めのシャンパン、ワインをグラスで提供してくれるので、ここを2軒目としてワインバー的に利用するのもアリです。
カウンターがあるので、まず一人で行ってみることもできます。
Retty:モレスク

フランス料理の大御所、ミシュラン3つ星店

カンテサンス

予約がなかなか取れません。土曜日の予約は、さらにむずかしいです。2ヶ月前から専用電話で受け付けていますので、記念日など行きたい日が決まっている場合は、きっちり2ヶ月前の午前9時半に電話しましょう。
こじんまりとしていて、内装もシックで余計なところがなく、ディナーは24,000円のおまかせコースのみ。そして、ここで出されるメニューには、料理の中身については何も書いてありません。各ディッシュが、テーブルに運ばれてきたときに説明があります。料理の写真を撮るのはNGですので、お気をつけください。説明を聞くたびにふたりの会話は中断せざるをえませんが、積もる話をするためではなく、シンプルに、ここでしか味わえない料理をふたりで体験するために行くお店、と考えるとよいでしょう。
以前は白金にあったのですが、移転して、五反田と品川の間に位置する御殿山という場所にあります。品川駅高輪口にホテルが何軒かありますので、行くときの待ち合わせや、2軒目の飲みには、この界隈のホテルのラウンジやバーを使って、お店との間はタクシーで移動するのがスマートです。
カンテサンス

ジョエル・ロブション

恵比寿ガーデンプレスの奥にある宮殿風の建物の中にあり、内装もゴージャスで広々としていて、まさに王者の風格という感じのお店です。カンテサンスとはポジショニングが違います。
最高峰のミシュラン3つ星店「ガストロノミー ジョエル・ロブション」と、それより少しお手軽な「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」があり、それぞれコースメニューにも複数のチョイスがありますので、迷わないように予習しておくとよいでしょう。「ガストロノミー ジョエル・ロブション」であれば、ランチでも十分にアニバーサリー感が味わえます。
店内にルージュバーというバーがあるほか、すぐ近くにウェスティンホテルがありますので、待ち合わせや2軒目には困らないです。
ジョエル・ロブション

フランス料理にチャレンジする前の、そもそもの心構え

彼女は、よく食べる人?


フランス料理のコースは、決められた流れにしたがって、ディッシュが順々に出て来ます。基本的には、料理を提供する側のペースで進むものです。お腹がいっぱいになったらお会計、というものではありません。名だたる高級店でも、日本人の女性にはちょっと多すぎるかな、と思えるくらい盛りだくさんなコースを出すところもあります。さらに、デザートが何品も選べることを売りにしているお店もあります。日頃からあまりたくさん食べない女子と一緒に行く場合、見栄を張っていちばん高いコースを注文するのではなく、メインに魚か肉かどちらかを選ぶような、少なめのコースを選択するほうがよいかも知れません。
いずれにしても、前半にパンをがつがつ食べ過ぎないようにするのが無難です。
そして早喰いの人は、彼女の食べるペースに合わせるように心がけましょう。運ばれてきた料理を自分だけさっさと食べ終わってしまうと、彼女ひとりが取り残されてしまいます。

彼女は、飲める人?


フランス料理店には通常、ワインリストがありますが、ワインをボトルで頼む必要はないです。一般的に魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインが合うと言いますが、前半に白のボトルを1本、後半に赤を1本では多すぎるでしょう。彼女がよほどの酒豪か、どうしてもボトルで頼みたい派か、もしくは4人で行ったりするケースでなければ、料理に合わせて少しずつグラスワインをいただくので十分です。

目標設定を考えよう


最近はネットにいろんな情報が溢れていますので、その気になって検索すれば、料理やワイン、マナー、そのお店の口コミなど、たくさんの情報を得ることができます。
ただ、知識ばかり頭に入っていても、スポーツの試合で力を発揮できないのと同じように、行き慣れない場所では、雰囲気に呑まれてしまって、せっかく身につけた知識も応用がきかなかったりします。
よほど経験値が高くない限り、あなたがカッコつけたり、株を上げるために行く場所ではないと考えましょう。そういうものは、彼女が楽しく食事をして、ステキな気分を味うことができれば結果的についてくるものです。高いお店に連れて行くことそのものに価値を求めるのでなく、憧れのお店に一緒に来て、優雅な気分を味わって、彼女に喜んでもらえること、これが基本と考えて臨みましょう。
そして、長くつきあって男女の仲が深くなり、お互いの知識・経験レベルをよく理解したステージになれば「あのスゴイ店、試しに今度行ってみようか」と言って出向いてみるのがよいです。そういう状況なら、出されたメニューやワインリストが全部フランス語で書かれていてちんぷんかんぷんでも、ふたりとも一緒にアウェイになれます。最高級店には、お互いがそうなれるようなときに初めて行くのでもよいかも知れません。

ライター:山田勲Twitter@ebisuux