婚活をする上で、相手に求める年収として具体的な数字が思い浮かぶ人は少なくないでしょう。「最低でも500万」、「年収1000万円以上は欲しいわ」など、女性の中には相手を年収で判断する人もいるくらいです。
しかし、年収については多くの人が間違った認識をしています。というのも、一般的に「金持ち」とされる年収1000万でも、生活がものすごく豊かになるとは言えないからです。
今回は、年収にこだわる婚活女性にぜひ読んでいただきたい、「年収1000万円でも生活が豊かにならない理由」についてです。
お察しの通り、年収が1000万円を越えれば、その分引かれる税金は高くなります。結果としていくらほどの手取り金額になるのか、年収と手取り金額の目安についても解説していきますよ!

年収1000万円だと手取りは700万円台!


年収1000万円と聞くと、きっと多くの人が「うわぁ、稼いでるなぁ!」と羨ましく思うでしょう。「私の旦那さん、年収1000万円くらいよ」と言えたらきっと鼻高々だろうなと思う女性もたくさんいると思います。
「お金持ちと結婚したい」という女性たちも、相手の年収が1000万円あれば文句なし!と見ている場合が多く、「年収1000万円」というのはある意味、金持ちか否かのボーダーラインでもあると言えます。
しかし、先にお伝えしておくと年収1000万円の場合、手取り額はざっと700万円台前半ほどになります。かなり減ってしまう印象ですが、その理由は税金です。
ここでは年収1000万円の人たちが、どれほどの税金を支払っているのか、その金額について詳しく解説していきます。

主な税金・保険の種類について


ここでまず、知っておきたい主な税金や保険の種類について簡単に説明しておきます。所得額をベースに計算される税金・保険は以下の3種類。(雇用保険については金額がそれほど大きくないためここでは割愛しています)

  • 所得税
  • 社会保険料
  • 住民税

年収が多ければその分支払う税金が高くなるのはきっと誰もがイメージできることですが、具体的にどのくらいの額になるのか、実際にそれぞれ見ていきましょう。

1. 所得税

所得税が何%なのかは、明確に決まっています。以下の表をご覧ください。

参考:国税庁ホームページ「所得税の税率」
※2023年2月現在、所得は1,000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額
所得額 税率 控除額
~194万9,000円まで 5% 0円
195万円~329万9,000円まで 10% 97,500円
330万円~694万9,000円まで 20% 427,500円
695万円~899万9,000円まで 23% 636,000円
900万円~1,799万9,000円まで 33% 1,536,000円
1,800万円~3,999万円まで 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

記載されている「控除額」とは、所得のうち課税されない金額。つまり、年収1000万円の場合、控除額が1,536,000円となるため、課税される金額は8,464,000円となります。
この場合、所得税は23%となるため、所得税額は8,464,000円×23%=1,946,720円となります。
1000万円稼いでも、まず所得税だけで200万円近く取られてしまうのですから、この時点ですでに手取りは800万円にまで減ってしまいます。恐ろしいですね。

2. 社会保険料

もしも年収1000万円の人が会社勤めなど、雇われている立場であれば、会社に社会保険料を納めているはずです。社会保険料とは、健康保険料と厚生年金保険料の合計金額です。
この金額はざっと給与の15%ほどとみておけば良いでしょう。となると、ここでもまた150万円ほどの保険料が飛んでいきます。
ちなみに、社会保険料に関しては自営業などのケースになると変わります。その場合は厚生年金ではなく国民年金のみになり、健康保険は国民保険となるため、計算はまるで異なります。

3. 住民税

住民税とは、お住まいの都道府県および市町村に対して払う税金のこと。課税所得に対して計10%が課税されます。
つまり、課税所得が800万円であれば、年間80万円ほどの住民税を支払うことになるということですから、これも大変な金額です。ただ暮らしているだけでそれだけ高額な税金がかかるとは、高所得層も苦労が絶えませんね。

年収ごとの手取り金額の目安


それぞれの税金や保険の計算方法が大まかに把握できたところで、ここからは具体的な金額を見ていきましょう。
そもそも、年収1000万円あったところで、結局手取り金額は700万円ほどになってしまうのなら、一体いくら年収があれば「お金持ちの暮らし」ができるのでしょう。
ここで、年収ごとの手取り金額の目安を見ておきましょう。

引用:酒居会計事務所「年収別手取り金額一覧」
※2023年2月現在
年収 手取り金額
400万円 3,122,900円
500万円 3,873,856円
600万円 4,581,700円
700万円 5,246,056円
800万円 5,881,140円
900万円 6,556,656円
1,000万円 7,212,196円
1,300万円 9,120,596円
1,500万円 10,150,616円

この表から分かるように、年収が1500万円を超えると、ここでやっと手取り金額が1000万円を超えてきます。それにしても引かれる税金や保険料の額が半端ありませんね。
興味深いのは、年収が400万円の人の場合、手取り金額との差が80万円ほどしかないという点。これが年収600万になれば、手取り金額との差は150万円ほどにも広がってしまいます。
まさに稼げば稼ぐだけ引かれる金額がどんどん増えていくという仕組みです。

年収1000万円についてのありがちな誤解


冒頭でも解説しているように、年収1000万円でも生活が豊かになるとは限りません。何をもって「豊かである」とするかにもよりますが、もしあなたが豊かな暮らしを求めていて、その暮らしぶりが、

  • 毎年ハワイで年末年始を過ごす
  • 家賃30万円のタワーマンション暮らし
  • 毎週末は高級レストランでディナー
  • 誕生日にはバーキンレベルのバッグを毎年プレゼントされる

などであれば、年収1000万円では到底足りるはずがありません。このようなレベルの生活をするのであれば、年収は少なくとも1500万円、2000万円ほどは欲しいところ。
人々が抱いている「年収1000万円=金持ち」というイメージはそもそも正しくないと言わざるを得ません。

年収1000万円の男性と結婚したAさんの話


ここで、結婚相談所で年収にこだわり、一切条件に関して妥協せず、最終的に年収1000万円ほどの弁護士と結婚したAさんの話を紹介します。
※Aさんとは筆者がウェディングプランナー時代に担当したお客様。結婚式のプランニングを通して仲良くなりお友達になりました。

Aさんは保育士。超堅実的な性格で、とにかく「金持ちとしか結婚しない」と固く決めていたそう。結婚相談所の力を借り、28歳のときに同い年で年収1000万円の弁護士の男性と結婚が決まりました。
28歳で年収1000万円というのはかなりレア。しかも結婚相談所で見つけたなんてもはや奇跡に近いと言えます。
スピード結婚だったのもあり、Aさんはお相手の貯金額については一切確認をしなかったそう。そもそも結婚相談所で収入証明も確認してもらっていたので、何も疑う余地がなかったのです。
結婚式の費用は400万円ほどでした。最後の支払いの段階で、彼はAさんに「全部支払うのは無理だからローンにしないか」と提案したそう。このときにAさんはびっくり仰天。彼には貯金がほぼなかったそうなのです!
年収1000万円もあって、400万円の結婚式費用が一括で支払えないなんて、Aさんは夢にも思っていませんでした。結果、結婚式の費用はAさんが半分貯金から出して、残りは彼と彼のご両親が支払ったとのこと。これにはAさん、かなりショックを受けたようです。

Aさんの旦那様が本当に弁護士で年収1000万円なのは事実だったのですが、年収1000万円の貯金なし、だったわけです。年収1000万円もあって貯金がないなどあり得ないと思うかもしれませんが、現にこのようなケースもあり得るということを頭に入れておくとよいですね。

年収1000万円より逆に500万円の暮らしの方が良いかも


年収が高ければ良い暮らしができる、と思うのは自然なことですが、一概にもそうとは言い切れません。
年収が1000万円もあれば、それはそれで希少ですし素晴らしいこと。ですが、年収が高いことで自分を「金持ち」と自覚し、散財してしまう傾向にある男性もいるのです。
「高級取り」なのだから、それなりに高級ブランドを身につけておきたい、食事は高級レストランしかあり得ない‥。このような意識で生活していれば、年収1000万あっても貯金ができるほどの余裕が生まれない場合も十分にあり得ます。
逆に、年収500万円の男性の方が「身の丈にあった生活」を心得ており、無理のない範囲に出費を留めるなど、堅実的な暮らしを好む傾向もあるでしょう。
結婚するなら、どちらの方がいいでしょう?決めるのはあなたですが、一概に年収が高ければ生活が格段に豊かになるとは言えないことも知っておかなくてはなりません。

まとめ

婚活においては、女性は若ければ人気が集中しやすく、男性はステータスや年収があればあるほどモテます。今回は年収1000万円にフォーカスし、実際の手取り額や生活レベルについて解説しました。
年収に重きを置いて婚活することが悪いことだとは言いません。しかし、年収が1000万円あれば確実に贅沢な暮らしができると思っているとしたら、それはリスキーな考え方であることは分かっておく必要があります。
紹介したように、年収と手取り金額は大きく異なります。年収重視で婚活をされる場合は、あなた自身が正確な知識を持った上で、慎重にお相手を選んでいきましょう!

文/mayu Twitter@webwritermayu