仕事やプライベートで忙しく毎日を過ごしてきて、ふと気が付けば40代。友人たちは子供を産み育て、大変だとこぼすけど幸せそうに見える。「今からでも子供は望める?問題は?」今回は、40代での妊娠・出産のメリットやデメリット、注意点についてまとめました。
40代に入ってからの妊娠
晩婚化と妊娠
平成28年8月、マタハラ(マタニティハラスメント)防止措置の適切かつ有効な実施を図るために定められた指針が厚生労働省より公布されました。このような国の動きに表れているように、女性の社会進出は目を見張るものがあります。自分らしく生きたい・今後も長く働きたいと思う女性、また管理職となる女性も増え、それにともない「晩婚」への流れとなり、そして生活が安定したところで妊娠を望めば「高齢での初産」という課題に突き当たる、というのが厳しい現実なんです。複雑であり、簡単な問題ではありません。
出典:厚生労働省「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」
40代で妊娠を望む人はどれくらい?妊娠する確率は?
前の項目で述べた社会的な流れもありますが、不妊治療が広く行われるようになったことも、40代で妊娠を希望する人が増加した要因に含まれます。平成27年度の人口動態統計調査によると、40歳以上の出産数は年々上がっている様子がよくわかります。ただ、このデータを見ての楽観視は残念ながらできません。自然妊娠に限っていえば確率は他の年代に比べると低下し、25~30歳で25~30%・35歳で18%・40歳で5%・45歳では1%となります。(引用:http://www.e-tamago.biz/probability/)状況によっては、不妊治療へのステップアップをはかるカップルもいるでしょう。妊娠できた場合でも注意すべき点があるので、次はそれについてお伝えします。
出典:厚生労働省「母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数」
40代で妊娠した場合のリスク
避けられない身体への負担
妊娠について話す上で、忘れてはならないのは「男性側」の問題です。不妊というとどうしても女性側にだけ焦点を当てがちですが、子供はひとりではできません。個人差はありますが、男性も35~40歳になると精液・精子の量が減り、加えて精子の運動量も低下します。また卵子の数は、女性が産まれたときから持っている原子卵胞に起因します。これらはどんどん新しく作られるものではなく、加齢によって減少、老化していきます。その結果、男女ともに受精がしにくくなってしまうのです。また、妊娠が成立したとしても、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産・流産のリスクが存在します。母体への負担は大きく、最悪の場合は産婦の命をも奪ってしまうようなケースも起こりうるのが、40代での妊娠・出産なんです。さらに、子供の側にも起こりうる症例も紹介します。
染色体異常によるリスク
卵子や精子が老化していると、胎児の染色体に異常が見られることがあります。子供が障害を持っている確率が高くなるということです。ダウン症を例にとって検証していくと、25歳で1250分の1だった発症確率は40歳で106分の1となっていて、あきらかに確率が上がっているところに気が付くでしょう。35歳以上の妊婦の方や遺伝性の病気を持つ方、希望者は出生前診断を行うこともありますが、40代だから・卵子や精子が老化しているからといって必ず染色体異常が起こるわけではありません。あくまで、可能性のお話です。気にし過ぎてストレスとなり、ホルモンバランスを崩して不妊を引き起こしてしまうことも問題なので、一例として頭に入れておいてください。
出典:卵の質向上委員会
40代で妊娠したいと思ったら
自分の身体を知ることから始める
どのくらい自分自身の身体について知っていますか?普段の月経などの状況を記録したり、産婦人科で専門の検査を受けても良いと思います。まずはよく調べて現状を理解することが、40代での妊娠への第一歩です。
不妊治療とその効果
自然妊娠が難しいカップルに、ひとつの選択肢として「不妊治療」があります。本格的に治療へ入る前に、女性は月経周期や子宮・卵巣に関する検査を、男性は精液検査を実施し、不妊の要因を調べ、その後「一般不妊治療」または「高度生殖医療」へと進みます。それぞれ、「医学的な支援はするけれど、卵を体の外に取り出すことはせずに受精は自然に任せるもの」が一般不妊治療、「卵を体外に取り出して精子と受精させる治療」が高度生殖医療と呼んでいます。しかし、これらの治療で受精や着床、妊娠の継続が必ずしも保障されるかというと、そうではありません。健康的な若いカップルと同じく、残念ながら流産など結果となることも。流産の多くは防ぎようのないものなので、どうか自分ばかりを責めずに、自分に合った治療法や生き方を見つけてください。もちろん、医師の診察や指導、治療の効果がはっきりと出ることもあるでしょう。ただ重要なのは、パートナーの方とコミュニケーションを取る時間を多く取り、お互いの気持ちやビジョンを共有することです。ふたりあっての妊娠なのですから。
出典:不妊治療情報センター
40代で妊娠の確率を高めるためのポイント5つ
ポイント1「バランスの良い食生活」
すべての年齢の方に言えることですが、バランスの取れた食生活は基本中の基本です。健やかに生きていく上での最重要ポイントでもあります。一日三食きちんと食べ、食事内容は偏ったものにせず、たくさんの品目を摂取することが理想ですが、簡単に実行できることではないですよね。忙しくてそんなじっくりと気に掛けるヒマなんてないという人は、カット済の野菜や果物、半調理もしくは調理済の食品など時短商品を活用してしまいましょう。今はヘルシー志向の商品が多く売られていますし、栄養バランスや塩分濃度などに気を付けて賢く選べばOKです。コミュニケーションついでに、カップルで協力して料理をするのも良いですね。
ポイント2「足りなければサプリメントを」
普段の食事でも足りない栄養素はあるのに、妊娠するための体づくりに必要な分まで考えて…となると大変ですよね。その際はサプリメントを利用することをおすすめします。インターネット通販サイトやドラッグストアで販売されている数多くのサプリメントの中で、積極的に取り入れたほうが良いものは「葉酸」「鉄分」です。そもそも女性は月経があるため、慢性的に鉄分が不足していることもありますし、葉酸にいたっては国も摂取を推奨しています。先天性異常のリスク発生を軽減させるためです。粒の大きさや匂い、細かい成分量など体質に合わせて取り入れてください。「カルシウム」も必須です。妊娠・出産を経て迎える、授乳期間のことも考慮してサプリメントを選びましょう。
ポイント3「お酒とタバコは控えて」
妊娠を望む・望まないに関わらず、過度の飲酒と喫煙は身体に悪影響を及ぼします。お酒に含まれるアルコールは体内で活性酸素を増やし、卵子を含む細胞の老化の原因となりますので、控えたほうが賢明です。タバコは分かりやすい器官である肺や気管支への影響だけではなく、血管を収縮させ、体を冷やしてしまいます。その結果、卵巣や子宮をも冷やしてしまい、妊娠しにくくなってしまうんです。パートナーなど、周囲にヘビースモーカーの人がいるのなら受動喫煙の恐れもあるので、お願いして協力してもらいましょう。
ポイント4「体をしっかりと休めよう」
食事と同じく基本的でとても大事なことですが、忙しい40代女性がなかなか実行できない点です。質の良い睡眠は、体内での活動にプラスになるだけではなくお肌の生まれ変わりも助け、翌朝に疲れを残しません。睡眠中に分泌されるホルモンの中には、卵子など細胞の老化を進めるという活性酸素から守ってくれる働きを持つものが存在するので、夜はしっかりと休みましょう。夕食は早めに済ませ、シャワーではなく入浴をし、寝る前に少し余裕があると良いですね。ちょっと無理…という場合は、神経が興奮しリラックス出来なくなってしまうので、せめて就寝直前までのPCやスマートフォンの使用は止めましょう。
ポイント5「ストレスは大敵!」
ストレスをまったく感じず、生きていくことは現代社会では不可能です。ストレスと付き合い、解消することが重要となります。それぞれ自分に合ったストレス解消法があると思いますが、おすすめは「運動」です。いきなりの本格的なジム通いは厳しくても、近所を軽く散歩することから始めてみてはどうでしょうか。家では簡単なストレッチを行ったり、出来そうなことからチャレンジしてみては?月経や妊娠に関わる女性ホルモンを分泌する、脳の視床下部はストレスに弱いとされています。ストレスと上手に向き合えるようになれば、いつもの生活にもうれしい変化が訪れますよ。
妊娠時のリスクを下げるために気をつけるべきポイント
不摂生な生活をやめ、適度な運動を
さきほどお話しした通り、妊婦には過度の喫煙や飲酒はタブーとされています。少ない量でも、おなかの赤ちゃんには影響を及ぼす可能性があるので、控えるようにしてください。悲しいことですが、一定量以上の摂取の結果として早産・流産・死産の他に、アルコールでは発育遅延や成長障害・神経障害・催奇奇形を、タバコに含まれるニコチンなどの物質は胎児発育遅延・前置胎盤・胎盤早期剥離などリスクのほうが目立ちます。禁煙・禁酒でイライラしてしまうのなら、運動を行い気分転換をしてみましょう。妊娠中の適度な運動は推奨されていますし、体を動かすことですっきりとするはずです。
出典:日本産婦人科医会「飲酒、喫煙と先天異常」
身体を温めることを意識する
前項目の続きとなりますが、運動をして身体を温めましょう。私自身、冷えも原因とされるひどい月経痛に悩まされましたが、月経前の調子が良い時期に軽くエクササイズをするようにしたら、少し症状が軽くなりました。個人の体調にも差がありますから、決して無理はせずに自分にあった運動メニューを組んでみて、気負わずにチャレンジしてみてください。昔から、冷えは女性の大敵と言われてきました。そのため妊娠前の「妊活」中の期間からも積極的に運動し、血行を促進させて代謝を上げ、ホルモンバランスを整えながらの生活を心掛けるとなお良いですね。ゆったりとしたヨガ、家でもやりやすいストレッチ、取り入れやすいウォーキングなどが私のおすすめです。
40代での妊娠をテーマに掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか。40代だけではなく、20~30代にも共通していえる点についてもいくつかありましたね。年齢が違っていても、基本的な根の部分はいっしょなんです。自分自身について、どのくらい知っていますか?どのくらいいたわっていますか?よく分からない、最近休んでいない、なんて方は身体のメンテナンス日を設けて、じっくり自身と向き合ってみてください。ちょっとでもおかしいな、と感じるところがあったのなら、専門の医師に指示を仰ぎましょう。自分にあった対処の方法を知りそれを実行することで、40代での妊娠への歩みを進めることが出来ると思います。でも、絶対に無理は禁物です。妊活や治療に疲れてしまったときは、パートナーといっしょに一呼吸置いてみることも大切ですよ。この記事が少しでも、赤ちゃんを望む方の力になれたのであれば幸いです。