
「クリスマス?別に普通の日だし」
そう言いながら、12月になると街中のイルミネーションがなんとなく目に入って、ふと心がざわつく。カップルで賑わうレストランの前を通り過ぎる時、ほんの少しだけ、胸が締め付けられる。
40代になると、クリスマスに対する感情は複雑になります。
若い頃みたいに「彼氏とデート!」と浮かれることもないし、かといって完全に無関心でいられるわけでもない。「関係ない」と言いながら、心のどこかで「本当にこれでいいのかな」とも思っている。
この矛盾した気持ちを抱えているのは、あなただけではありません。
今日は、40代女性がクリスマスに抱える本音と、その気持ちとどう向き合えばいいのかについて、一緒に考えてみましょう。
そして、恋人がいなくても、いや、いないからこそ楽しめる特別な過ごし方についてもお話しします。
「強がり」と「本音」の間で揺れる心
クリスマスが近づくと、なぜか自分の中で二つの声が戦い始めます。一つは「別に一人でも平気」という強気な声。もう一つは「やっぱり誰かと過ごしたかったな」という弱気な声。
それぞれの受け止め方をみていきましょう。
「どうでもいい」と思おうとする自分
「クリスマスなんて商業主義の産物でしょ」「ただの12月25日じゃん」。そう言い聞かせている自分、いませんか?これって、決して嘘じゃないんです。
でも、本当にそう思っている部分もあるし、そう思い込もうとしている自分もいる。
過去に、クリスマスに一人で過ごして寂しかった経験。恋人と過ごした楽しい思い出。友達が幸せそうにクリスマスデートの話をするのを聞いた時の、あの微妙な気持ち。
そんな経験が積み重なって、「どうでもいいと思った方が楽だ」という防御反応が働いているのかもしれません。
若い頃は、「クリスマスに恋人がいないなんて恥ずかしい」とストレートに感じていました。
でも40代になると、そういう単純な感情じゃなくなる。「もうそういう年齢じゃないし」と理性で考えながらも、感情は別のことを言っている。
この複雑さを認めることから、始めましょう。
実は「特別に過ごしたい」という気持ちがある
「どうでもいい」と言いながら、心のどこかで「でもやっぱり特別な日にしたい」と思っていませんか?
この気持ち、否定する必要はまったくありません。
特別な日を特別に過ごしたいと思うのは、人として自然なこと。
それは「恋人がいないと幸せじゃない」という意味ではなく、「自分の人生を大切にしたい」という気持ちの表れです。
問題は、「特別に過ごす」=「恋人と過ごす」という固定観念に縛られていること。
若い頃からずっと、そういう価値観を刷り込まれてきたから、一人でクリスマスを過ごすことに、どこか「負け」のような感覚を持ってしまう。
でも、ちょっと待ってください。本当にそうでしょうか?
40代の今だからこそ、「特別な日を、自分のために使う」という新しい選択肢が見えてくるはずです。誰かに合わせるのではなく、自分が本当にやりたいことをする。
それって、とても贅沢で、とても幸せなことではないでしょうか。
「一人のクリスマス」に感じる罪悪感の正体
街中がカップルであふれる12月。一人で歩いていると、なんとなく居心地の悪さを感じることがあります。この感覚、一体どこから来るのでしょう?
周りの目が気になってしまう
レストランの予約サイトを見ると「クリスマス特別ディナー」の文字。
友達からは「クリスマスの予定は?」と聞かれる。職場でも、なんとなくクリスマスの話題が出る。
こういう時、「一人で過ごす」と言いづらい空気、ありますよね。若い頃は「友達と過ごす」と言えば済んだかもしれません。
でも40代になると、「まだ一人なの?」という無言のプレッシャーを感じてしまう。実際には誰もそんなこと思っていないのに、自分で勝手に気にしてしまう。
過去に「クリスマスに予定ないの?」と言われて傷ついた経験がある人は、特にこの感覚が強いかもしれません。
でも、よく考えてみてください。
他人のクリスマスの過ごし方を、本気で気にする人っていますか?
みんな、自分のことで精一杯です。
あなたが一人でクリスマスを過ごそうが、誰も気にしていません。
気にしているのは、自分だけなんです。
「幸せじゃない」という思い込み
一人でクリスマスを過ごす=幸せじゃない。この方程式、誰が決めたんでしょう?
恋人がいることが幸せの条件なら、恋人がいる人は全員幸せなんでしょうか?
答えは、ノーですよね。
クリスマスに恋人と過ごしても、喧嘩になることもあります。相手に気を遣って疲れることもあります。「こんなはずじゃなかった」と思うこともあります。
逆に、一人で過ごすクリスマスが、とても充実していることもある。好きな映画を見て、好きなものを食べて、好きな時間に寝る。
誰にも気を遣わない、完全に自分だけの時間。それって、実はとても贅沢なことです。
「一人=不幸」という思い込みを手放した時、新しい景色が見えてきます。
恋人がいなくても、特別な日を「特別」にする方法
ここまで読んで、「でも、やっぱり特別に過ごしたい」と思った人へ。恋人がいなくても、いや、いないからこそ楽しめる、とっておきの過ごし方があります。
心を震わせる「生の体験」に身を委ねる
クリスマスシーズンだからこそ、普段行かない場所に足を運んでみませんか?
たとえば、好きなミュージシャンのコンサート。クリスマスライブは、特別な演出があったり、限定の楽曲が聴けたり、普段とは違う雰囲気を楽しめます。
大好きなアーティストの音楽に包まれる時間は、どんなディナーよりも心を満たしてくれるかもしれません。
お笑いが好きなら、芸人さんのライブもおすすめです。クリスマスに一人でお笑いライブ?と思うかもしれませんが、これが意外と最高なんです。
思いっきり笑って、日頃のストレスを吹き飛ばす。笑い終わった後の爽快感は、下手なデートより気持ちいいものです。
恋人と過ごすクリスマスは「相手に合わせる」要素が必ずあります。
でも一人なら、100%自分の好きなものを選べる。
「好きなアーティストのコンサートに行きたいけど、相手が興味ないから諦めた」という経験、ありませんか?
一人だからこそ、そんな遠慮はいりません。自分の心が本当に求めているものに、素直に従える。それが、一人で過ごすクリスマスの最大の贅沢です。
会場には、同じように一人で来ている人もたくさんいます。誰とも話さなくても、きっと孤独は感じません。
「非日常」を自分にプレゼントする旅
クリスマスを、いつもと全く違う場所で過ごしてみるのはどうでしょう?
国内でも海外でも、一人旅は40代女性にこそおすすめです。若い頃は「一人旅なんて寂しい」と思っていたかもしれません。
でも今なら、一人旅の良さがわかるはず。
誰にも気を遣わず、自分のペースで動ける。疲れたら休めばいいし、気が向いたら予定を変えてもいい。朝寝坊してもいいし、一日中歩き回ってもいい。
クリスマスシーズンのヨーロッパは、街全体がクリスマスマーケットで彩られて幻想的です。
温泉地でゆっくり過ごすのもいいでしょう。
沖縄で海を見ながら、冬の喧騒から離れるのも素敵です。
「クリスマスに一人で旅行なんて」と思うかもしれません。
でも、それは古い価値観です。
旅先で出会う景色、食べ物、人。それらすべてが、あなたの心を豊かにしてくれます。そして何より、「自分のために時間とお金を使った」という満足感が、自己肯定感を高めてくれる。
恋人とのクリスマス旅行は、相手の希望も考慮しなければいけません。
でも一人旅なら、すべてが自分の思い通り。これほど贅沢なことはありません。
自分の体を徹底的に労わる時間
クリスマスだからこそ、自分の体に特別なご褒美をあげませんか?
普段は忙しくて行けないエステやスパ。クリスマスに、長時間コースを予約してみるのはどうでしょう。
3時間、4時間、あるいは半日かけて、体の隅々までケアしてもらう。
フェイシャル、ボディマッサージ、ヘッドスパ。あかすりで古い角質を落として、生まれ変わったような肌になる。アロマの香りに包まれながら、日頃の疲れを癒す。
恋人のために綺麗になるのではなく、自分のために綺麗になる。これって、とても大切なことです。
若い頃は「誰かに見られる」ために美容にお金をかけていたかもしれません。でも40代の今は違います。自分が心地よくいるため、自分を大切にするために、体のケアをする。
長時間のコースを受けた後の、あの心地よい疲労感と爽快感。鏡を見た時の「ちょっと綺麗になった?」という嬉しさ。
それは誰かと過ごすクリスマスでは得られない、自分だけの特別な時間です。
「来年こそは」と思わなくてもいい
クリスマスを一人で過ごすと、つい「来年こそは恋人と過ごせるように」と思ってしまいませんか?
でも、その考え方、ちょっと待ってください。
「恋人と過ごすクリスマス」がゴールだとしたら、それまでの毎年のクリスマスは「失敗」なんでしょうか?
違いますよね。
今年のクリスマス、コンサートで感動した。一人旅で素敵な景色に出会った。エステで自分を労わった。
それらはすべて、あなたの人生を豊かにする大切な経験です。
来年も一人かもしれない。でもそれは、不幸なことじゃありません。
また新しい方法で、自分を喜ばせることができる。そう考えると、一人のクリスマスも悪くないと思えてきませんか?
もちろん、素敵な人と出会って、その人とクリスマスを過ごせたら嬉しいでしょう。
でも、それは「目標」ではなく、「もし起きたら嬉しいこと」くらいに考えておく。
今を楽しむことを、未来の可能性のために我慢する必要はないんです。
おわりに
「クリスマスなんて関係ない」と言いながら、心のどこかで特別に過ごしたいと思っている。
その矛盾した気持ちを、もう否定しなくていいんです。
恋人がいないことは、不幸の証明ではありません。むしろ、自分だけのために時間とお金を使える、特別なチャンスです。
好きなアーティストのライブで心を震わせる。知らない街で新しい自分に出会う。エステで自分の体を労わる。
これらすべてが、あなたへのクリスマスプレゼントです。
若い頃のように「恋人とのクリスマス」に執着しなくていい。
40代の今だからこそ、もっと自由に、もっと自分らしく、クリスマスを楽しめるはずです。
街のイルミネーションを見て、少し胸がざわついても大丈夫。その気持ちを認めながら、でも自分の選んだ道を楽しむ。
その両方をできるのが、大人の女性のしなやかさであり、強さです。
今年のクリスマスは、誰のためでもない、あなた自身のための特別な日にしませんか?
文/AKI