老後は自由な時間を持てる半面、持て余してしまう人も多数。せっかく余裕があるのですから、趣味を思い切り楽しんでみませんか。今回は老後の趣味について、オススメのものも含めてご紹介します。

老後の趣味ってどんなもの?

日本で老後と言われる定年後人口は約3400万人くらい

「老後」というのは何歳からと定義されているかご存知ですか。多くの人は会社を退職する年齢(60歳~65歳)くらいからととらえているのではないでしょうか。日本は高齢化社会が進んでいると言われて久しいですが、実際どの程度なのかはなかなかイメージしづらいですよね。
少し前のデータになりますが、2015年に総務省が行った統計調査によると、65歳以上の高齢者にあたる人口が、日本の総人口の26.7%となっています。つまり3~4人に1人の割合で高齢者という状況です。いわゆる「団塊の世代」や「団塊ジュニア」の高齢化や少子化との相互関係から、予測では2060年の高齢者人口は総人口の約40%(2.5人に1人)となっています。

定年後の趣味をどうやって決めていますか?

定年を65歳とし平均寿命まで生きると仮定すると、男性で15年、女性で20年ほどの「老後」の時間があります。仕事や子育ても一段落して、余生をどう豊かに過ごすかということが大きなテーマとなるはずです。その中で重要な位置を占めるのが趣味。今まで続けてきた趣味をそのまま継続するのもいいですし、時間に追われてそれまで遠ざかっていたことを改めてやってみたり、一から新しく始めたりするのもいいでしょう。
また意外にあなどれないのが、地域の市民講座などで勉強すること。筆者も一時期、市民講座に参加していたことがありますが、リタイア後の年代の人を多く見かけました。内容も幅広く、みなさん熱心に取り組まれていた印象があります。比較的気軽に始められるので、そこから趣味につなげていくというのもいい方法だと思いますよ。各自治体によって違いますので、興味があれば調べてみるといいですね!

老後の趣味は生きがいになる

老後に趣味を持つ人は多い

多くの場合、老後は自分の時間を自由に使うことができます。特に大人だけの世帯ならば、各々のスタイルで生活することができますよね。また今まで時間的、金銭的に叶わなかった趣味も、老後だったら始められるということだってあるでしょう。自分の好きなことに好きなだけ時間を使うことができる生活は贅沢であり、ずっと仕事などを頑張ってきたごほうびと言ってもいいかもしれません。
また現代の60代以降の人たちは「高齢者」と呼ぶには失礼なくらい、若々しさを保っておられます。このようにエネルギーに満ちた高齢者は、趣味や好きなことが生きがいにして、気持ちにハリがある生活を送っていることも若々しさの理由になっていると思います。

健康的に老後を過ごすには

近年「健康寿命」という言葉が注目を浴びていますが、趣味を思い切り楽しむためには、心身ともに健康的な状態を保つ必要があるのは言うまでもありませんね。身体的な面では、食生活や運動習慣など基本的なことを見直しましょう。老化に伴って食が細くなったり、運動がおっくうになってしまうこともあります。若いうちから少しずつ習慣づけておくのが大切ですね。
心理的な面ではストレスの少ない、円滑な人間関係が不可欠でしょう。特に男性は時間を持て余してしまい、うつ状態に陥ってしまう人も多いようです。また女性は、パートナーが一日中家にいることからストレスを感じることもあるでしょう。こういったストレスは家族の関係を悪化させます。
生きがいとなる趣味を持つことが、個々に、あるいは家族や周囲の人たちと一緒に楽しめるものを持つことにつながり、健康的で自立した老後を過ごすことができるのでしょう。

老後に人気の趣味はコレ!

男性編

60代以降の男性に人気の趣味は、

  1. 旅行
  2. 家庭菜園、庭いじり、DIY
  3. 車、バイクいじり
  4. 写真
  5. ウォーキング、散歩

などが挙げられます。①は国内外問わず人気が高く、船旅や寝台列車の旅など時間に余裕をもった旅を楽しんでいる人が多いです。②は自分で一から植物や野菜を育てたり、何かを作り上げたり、長い時間をかけてじっくりできる代表的なものでしょう。③は若いころに諦めたけれど、という人が定年を機に再開することが多く、実際シニアライダーは増え続けているようです。④は一眼レフカメラが比較的簡単に手に入るようになり、始める人も多くいます。SNSの普及により、撮影した写真を発表する場もあるのが魅力ですね。⑤は趣味と実益を兼ねたものですが、有酸素運動は健康にいいですから、毎日の習慣として取り入れることがほとんどではないでしょうか。

女性編

対して60代以降の女性に人気の趣味は、

  1. ダンス(フラ、日本舞踊等)
  2. 演劇鑑賞
  3. 手芸、物づくり
  4. 神社・仏閣巡り
  5. 楽器や歌

などが挙げられます。①はフラダンス、日舞だけでなくヨガや社交ダンスなど多岐にわたっています。仲間と楽しく体を動かせることができる点が大きなポイントです。②は打って変わって静かに時間を過ごす方法。③もどちらかというとインドアで、自宅でもできるようなものですね。中には陶芸や工芸のように本格的なものも。④は近年人気が高まっている趣味のひとつですよね。ご朱印をいただいて回ることが、まるでスタンプラリーのようでコレクター魂をくすぐるようです。⑤はピアノやコーラス、カラオケなどをさします。大きな声で歌を歌うことで、ストレス発散が期待できそうですね。楽器の演奏も昔ならっていたものを再開したり、憧れていた楽器にチャレンジしたりして楽しんでいる人が多いです。

筆者のおすすめ!老後の趣味5選

その① 書道

パソコンやスマートフォンを使いこなす高齢者が年々増えています。情報量も多く利便性が高いですが、ときどき使いすぎて疲れてしまうこともありますよね。そんなときに心を静めて、落ち着いて取り組める趣味が書道です。独学で始めるのもいいですが、余裕があるようならぜひお稽古ごととして取り組むといいでしょう。年齢を重ねるにつれ、人からものを教わる機会が減ってきているでしょうから、きっと新鮮な気持ちで向き合うことができると思いますよ。
また年賀状や季節の便りなどで、美しい文字を披露する機会だってあります。周囲がほれぼれするような文字が書けるように、目標を持ってがんばれそうですね。

その② 陶芸

陶芸も老若男女に人気の趣味に挙げられます。体験したことがある人も多いでしょうが、土と触れ合う独特の感触はなんともいえず気持ちが落ち着くと言います。無になって没頭できるところは、書道と通じる部分があるかもしれませんね。
陶芸の作品は手元に残ることから、実用性があるというポイントもいいですよね。普段使いの器に、自分のこだわりがつまったものを使えるのは特権です。上達したら他の人にあげたり、ネットなどを通じて販売することもできますので、それもおすすめ理由のひとつです。

その③ 登山、トレッキング

健康的に老後を過ごすためには、身体づくりが大切です。衰えがちな足腰を鍛えるために、山に出かける高齢者も多く見受けられます。老後を寝たきりで過ごさない(健康寿命を延ばす)ためにも、歩く機会を設けるようにしましょう。東京都でいえば高尾山や奥多摩周辺のように比較的軽装備でもOKな場所なら、初心者でも始めやすいのではないでしょうか。街中を歩くウォーキングと違い、自然の中を歩くと季節の移り変わりを感じることができますし、すがすがしい気持ちになれるはず。
ただ山遊びは楽しい反面危険が伴う場合がありますので、事前の準備をしっかりして実力に合ったコースを選ぶようにしてください。

その④ 盆栽

ひと昔前までは高齢者特有の趣味として定番だった盆栽が、少しずつ裾野を広げ若者や外国人にも人気が出ています。ミニ盆栽など小さく育てやすいサイズから始めることもでき、じわじわと盆栽人口は増えているようです。松をはじめとした針葉樹の香りには、フィトンチッドというリラックス効果のある物質が含まれていて、心身の健康づくりに役立ちます。例えばマンション住まいでガーデニングは無理という人でも、盆栽なら小さなスペースで育てることができますので、場所を気にする必要もありません。花の咲く木や実のなる木など、自分好みの景色を作り上げる喜びはきっと大きいでしょう。

その⑤ 川柳、俳句

高齢になると気になってくるのが認知症。予防できるものならしておきたいですよね。頭を使うことが対策のひとつですが、おすすめは川柳や俳句を作ることです。限られた字数で表現するというのは、思いのほか難しいものなんですよ。ふたつの違いはと言えば、川柳が人や社会をテーマにし、俳句は季節や自然を詠み込むことが基本。同じように見えて全く違うものですので、自分の好きな方を選ぶといいでしょう。
川柳や俳句をたしなむ人は多く、地域でも集まりがあったりします。そういった場に積極的に参加し、知らない人と会話をすることも脳への刺激になるはずです。

老後だからこそ、実益を兼ねた趣味も◎

老後だからこそ好きなことでお金を稼ごう

インターネットが普及した現代ならではと言えますが、誰でも簡単に自分の作品を販売できることをご存知ですか。ネットショップほど堅苦しいものではなく、手軽に販売したいならハンドメイド専用サイトを利用しましょう。スマホアプリも多くありますので、自宅で手軽に出品でき、収入が得られるという所が魅力です。自分の作ったもので喜んでもらえるというのは、嬉しい限りですよね。

実益も兼ねた趣味で人気なのは?

ネット販売で手芸品は一定の人気があります。その中でも編み物、バッグ、アクセサリーなどは需要がありますので、趣味と実益を兼ねられる可能性が高いです。購入する側の目も肥えてきていますので、商品として問題ない程度の品質は必要になります。そこから人気作家になることだって考えられますから、チャレンジしてみるのもいいでしょう。男性では木工品や金属加工品、陶芸品などは販売することができそうです。ネットだけでなく道の駅、地域のカフェや展示スペースなどで販売できる機会もあるでしょうから、まずは情報収集や地域の人との交流が大事かもしれませんね!

老後の生活では「趣味=生きがい」となります。若いうちは仕事などに追われて趣味の時間は後回しになりがちだったはず。そういったものに再度取り組むのもよし、一から始めるのもよしです。要は自分がワクワクドキドキできる時間が持てるかということがいちばん大切。日々をはずんだ気持ちで過ごすことができる人は、きっといつまでも若々しく、充実した生活を送ることができるのだと思います。
今からでも遅くありません。少しでも興味のあることはやってみることをオススメしますよ!