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【告白】お金で買ったのは「サービス」じゃなくて、自分を大切にする感覚だった(めぐみさん・42歳)

「お金を払って誰かに頼るなんて贅沢」——そう思っていた過去の自分が、少しずつ変わっていった。忙しさや遠慮から後回しにしていた“自分を大切にする時間”を、あえてお金で買うという選択。その先にあったのは、単なるサービス以上の価値でした。

42歳・めぐみさんが気づいた、本当の意味での「自己投資」とは何だったのか、そのリアルな心の変化をたどります。

離婚後、40歳の彼女がひとりでネット検索した夜のこと


離婚を経て、ふと訪れた静かな夜。誰にも頼れない孤独と、この先どう生きていくのかという不安のなかで、気づけばスマートフォンを握りしめていた——。検索欄に打ち込んだ言葉は、今の自分をそのまま映し出すものばかり。40歳という節目に立った彼女が、その夜に何を探し、何を感じていたのか。揺れ動く本音と向き合った、忘れられない時間を語ってくれました。

「こんなサービス、私みたいな人間が使っていいの?」という最初の壁

「正直に言うと、申し込むまでに半年くらいかかりました」

めぐみさん(42歳・事務職)は、少し恥ずかしそうに笑いながらそう話してくれました。37歳で離婚し、しばらくは仕事と家事だけで毎日をやり過ごしていたといいます。40歳の誕生日を目前にしたある夜、たまたま読んでいた女性誌に「女性向け風俗」の特集記事が載っていたのだそう。

「最初は”ふーん、こういうサービスがあるんだ”くらいの感覚で。でも何度も読み返していて、気づいたら1時間くらい経っていたんですよね。私、気になってたんだと思います」

レンタル彼氏や女性専用サービス。利用者のインタビューを読み込むうち、めぐみさんの中で「こういうのって、独身でさみしい人が使うもの」というイメージが少しずつ崩れていきました。利用者たちはべつに孤独を埋めたくて来ているわけじゃない。では何のために来るのか。

「自分のために時間とお金を使う、という感覚そのものを取り戻したかったんだと、あとになってわかりました」

それでも最初の問い合わせメールを送るまで、スマートフォンの画面を閉じたり開いたりを繰り返したといいます。「こんなサービスを使うような自分」を認めることが、当時のめぐみさんにはとても難しかったから。

離婚が残した「自分に遠慮する癖」

めぐみさんが元夫と暮らしていた9年間は、彼女の言葉を借りると「自分の気持ちにフタをすることを覚えた9年間」でした。

「夫は悪い人じゃなかったと思います。ただ、私が何か希望を言うと、ため息をつかれることが多くて。いつの間にか”私のしたいことは面倒なこと”って思うようになってしまって」

食べたいものが言えない。行きたい場所を言い出せない。洋服を買うときも罪悪感が先に立つ。そういった積み重ねは、離婚してひとりになってからも消えませんでした。むしろ誰も止める人がいないのに、自分で自分を止めてしまう。

「外食するのも、ちょっといいものを買うのも、なんだか後ろめたいんです。誰に怒られるわけでもないのに。おかしいですよね」

おかしくない、とわたしは思います。遠慮することを身体が覚えてしまっているのです。そのパターンは、相手がいなくなっても、すぐには書き換わらない。

はじめて「お客さん」になった日、泣きそうになった理由


なぜ、ただサービスを受けただけなのに、こんなにも心が揺さぶられたのか。その理由を振り返ります。

「今日は何をしたいですか?」と聞かれて、答えられなかった

めぐみさんが最初に利用したのは、レンタル彼氏のサービスでした。カフェでの食事と、近くの公園をゆっくり散歩するだけのコース。事前のやり取りで「希望はありますか」と聞かれ、「なんでも大丈夫です」と返したといいます。

「当日、担当の男性に”今日は何をしたいですか、どこに行きたいですか”って聞いてもらったんですけど……答えられなくて。なんか、頭が真っ白になっちゃって」

自分が何をしたいかを聞かれる経験が、長いことなかったのかもしれない。そう振り返るめぐみさんの声は、少しだけ揺れていました。担当の男性は急かすことなく、「じゃあ、まずコーヒーでも飲みながら話しましょう」と言ってくれたそうです。その一言に、めぐみさんは「泣きそうになった」といいます。

「急かされなかったのが、なんか……すごく久しぶりな感じがして」

サービスだからといって特別なことは何もありませんでした。ただ、ゆっくりコーヒーを飲んで、他愛ない話をして、秋の風が気持ちいいねと言いながら公園を歩いた。それだけのことが、めぐみさんにとってはずいぶんと特別な体験になりました。

「お金を払っている」という事実が、逆に気持ちをラクにした

「友人や家族に”一緒にいてほしい”って頼むのって、なんか申し訳なくて。気を遣わせているんじゃないかって考えると、楽しめなくて」

めぐみさんが語るのは、多くのアラフォー女性が感じているかもしれない、あの独特の「遠慮」です。誰かと一緒にいるときでさえ、相手の負担になっていないかを気にしてしまう。そういう人が「純粋に自分のために過ごす時間」を持つのは、思った以上に難しい。

でも、お金を払うサービスには、ある意味での「対等さ」があります。

「”あなたは今日のお客さんですよ”という関係性がはっきりしているから、気を遣わなくていい。これが私には合ってたみたいで」

気を遣うことなく、ただそこにいていい。それはめぐみさんにとって、驚くほど久しぶりの感覚でした。「癒してもらいに来た」というより「自分がただの人間でいられる時間を買った」という感じ、とめぐみさんは表現しました。

数か月に一度の「自分メンテ」が日常をじわじわ変えていった


彼女が取り入れたのは、数か月に一度だけ、自分のために時間とお金を使うという小さな習慣。誰にも気を遣わず、ただ心をゆるめて過ごすひとときが、思っていた以上に深く自分を満たしてくれました。大げさな変化ではないけれど、その積み重ねが、日常の感じ方や自分との向き合い方を、少しずつやさしく変えていったそうです。

「好きなもの」がわかるようになってきた

それから2年ほど、めぐみさんは女性向け風俗やレンタル彼氏のサービスを、数か月に一度のペースで利用し続けました。毎回のことではなく、「なんか自分がすり減ってきたな」と感じたときに。

「最初のうちは行くたびに発見があって。私、甘いものより食事系のほうが好きだとか、静かな場所のほうが落ち着くとか。そんな当たり前のことを、改めて確認しているみたいでした」

自分の好みや心地よさを、ちゃんと言葉にして伝える練習。それがめぐみさんには必要だったのかもしれません。サービスのなかでスタッフから「どうですか」「何が好きですか」と聞かれるたびに、ちゃんと考えて、ちゃんと答える。それだけのことが、日常にも少しずつ染み出していきました。

「友人とご飯に行って”どこがいい?”って聞かれたとき、言えるようになってきたんです。”あの店行ってみたい”って。前は絶対に言えなかった」

「恋愛したい気持ち」が怖くなくなってきた

「今も恋愛には慎重です。また同じことを繰り返す気がして、怖い部分はあります」

めぐみさんはそう正直に話してくれました。離婚の傷は、2年やそこらで完全に消えるものではないと。でも、以前とはちがう感覚もある、といいます。

「前は”恋愛したい、でも傷つくのが嫌”というより、”自分みたいな人間が誰かと一緒にいるのは迷惑なんじゃないか”という気持ちが強くて。でも最近は、それがだいぶ薄くなってきた気がします」

存在することへの遠慮が、少しずつほぐれてきた。その変化はきっと、「自分の気持ちを聞いてもらう経験」を重ねたことと無関係ではないはず。

「完全に吹っ切れたとか、自信が戻ったとか、そういう派手な話じゃないんですけど。自分のことを大切にするって、どういうことかが少しわかってきた、くらいの感じです」

めぐみさんはそう言って、今度は少し照れたように笑いました。

まとめ

めぐみさんの話を聞いていて思うのは、彼女が手に入れたのはサービスの内容そのものではなく、「自分を後回しにしない時間」の感覚だったのではないか、ということです。傷ついた経験のある人ほど、自分の気持ちや欲求を後ろに追いやることに慣れてしまいます。

それは自衛でもあるし、気遣いでもある。でもそれが長くなりすぎると、「自分が何をしたいか」さえわからなくなってしまう。

お金を払うサービスという形を選んだことで、めぐみさんは「ここでは自分がお客さんでいい」という安心感を持てた。そしてその時間の中で少しずつ、自分の気持ちを声に出す練習をしていきました。

それはきっと、誰もが自分のペースで始められることです。高価なサービスでなくてもいい。ひとりでいつもと違うカフェに入るでも、ずっと先延ばしにしていたマッサージの予約を入れるでも。

「自分のために、自分が選ぶ」という小さな経験の積み重ねが、長い間縮こまっていた気持ちをゆっくりほぐしていく。

恋愛に臆病になっているとしたら、それはあなたが弱いからじゃない。ただ、自分を大切にする練習が、少し足りていないだけかもしれない。めぐみさんの話は、そんなことを静かに教えてくれました。

※本記事はご本人の了承のもと、プライバシーに配慮して一部の情報を変更・再構成しています。

 

文/AKI

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