在宅ワークは自由度が高い反面、作業環境を整えるまで手が回らず、肩こりに悩む人が増えています。

自宅のダイニングテーブルやソファで仕事をしている場合、オフィスのデスク環境と比べて姿勢が崩れやすくなります。

体の不調はモニターの位置やキーボードの配置など、自宅の作業環境が引き起こしているケースも少なくありません。

そこで本記事では、肩こりの原因となる「姿勢のくずれ」に着目し、すぐに見直せるポイントや、作業をしながらできる簡単なストレッチを紹介します。

最後まで読むと、体の負担を軽くするヒントが得られるはずです。

椅子より先に整える3つのポイント

在宅ワークで悩まされる肩こりの原因のひとつは作業中の姿勢です。

オフィスの環境と比べ、在宅ワークは椅子やデスクが整っておらず、無理な姿勢をとり続けている可能性がありますとはいえ、高価な椅子を買うのはハードルが高く、そもそも椅子だけでは根本的な解決にはならないことも。

そこでまずは、簡単に見直せる作業環境のポイントを3つご紹介します。

① モニターの上端を目線の高さに合わせる
② キーボードとマウスの位置を調整して肘を90度にする
③ 膝を90度にして足の裏を接地する

① モニター高さ:上端と目線の高さを合わせる

モニターの高さを目線と同じ位置に合わせると姿勢が整い、肩こりの予防につながります。

「少し高すぎるかも?」と感じるぐらいがちょうど良い高さです。高さに合わせるように背筋や姿勢が整い、目線が上がります。

ノートパソコンを使用している方は前かがみの姿勢になりやすく、肩や首に負担をかけているかもしれません。

専用のスタンドや書籍などを利用してPCの高さを調整し、外付けキーボードと併用するのがおすすめです。PCスタンドは3,000円程度で購入できるため、導入のハードルも高くありません。

デスクトップモニターの場合も、モニターアームや本を敷くなど工夫して、目線の高さに近づけましょう。

② キーボードとマウス:肘を90度にする

手を置く位置によっては、腕や肩に不自然な力をかけているかもしれません。

肘が90度になる位置にキーボードとマウスを配置しましょう。肩や手首に不自然な力が入りづらくなります

キーボードの位置が高すぎると肩がすくんでしまい、低すぎると前屈みの姿勢になりやすいです。さらに、手首がそり返ると腱鞘炎のリスクも伴います。デスクが高い場合は椅子にクッションを敷いて体の位置を調整しましょう。

また、テンキーなしの省スペースなキーボードやトラックボールマウスを使うと、腕の可動域が小さくなり疲れにくくなります。

③ 足元:膝を90度にして足の裏を接地する

上半身だけでなく、足元にも着目してみましょう。

椅子に座ったときに膝の角度が90度となる姿勢が理想的です足の裏が床に接地している状態は骨盤を安定させ、上半身の姿勢も整いやすくなります

足が床に届かずぶらぶらしていたり、膝が鋭角に曲がっていたりすると姿勢がくずれ、背中が丸まりやすくなります。膝の角度を調整するために、足元にフットレストを置く方法もあります。フットレストも3,000円程度で購入でき、導入しやすいアイテムです。

椅子の高さや足元を調整して、足の裏が床に接地する姿勢をとりましょう。

姿勢のクセが肩こりを悪化する

在宅ワークで長時間のパソコン作業中に画面をのぞき込む姿勢に注意が必要です。

前のめりになって首が前に出たままの姿勢を続けると、首や肩にかかる負担が大きくなります。

日本臨床内科医会の資料でも、肩こりの原因が仕事中の姿勢の悪さにあると指摘されています。

良い姿勢 悪い姿勢
・あごを軽く引く

・背筋が伸びている

・両肩の高さがそろっている

・耳・肩・腰が一直線に並んでいる

・首が前にでている

・背筋が丸くなっている

・肩が前に落ちている

・浅く椅子に座っている

引用:わかりやすい病気のはなしシリーズ47肩こり 

作業時にチェックするポイント

パソコンを見ているときに、首が前に突き出た姿勢になっていませんか。

首が前に出ていると、頭の重さを支えるために首や肩の筋肉に力をかけてしまいます

特に、以下のような作業環境やクセがある場合は要注意です。

  • モニターが遠い
  • 画面の文字が小さくみづらい
  • 頬杖をつく

モニターが遠く、画面の文字がみづらいと、前のめりの姿勢になりやすいでしょう。また、頬杖をつくクセも姿勢をくずしやすい要因になります。

デスクの配置やパソコンの設定を見直して作業環境を整えましょう。

悪い姿勢が血流をさまたげて肩こりを長引かせる

同じ姿勢を長時間続けると血流が悪くなり、肩こりの悪化にもつながります。

長時間作業に集中していると、筋肉が緊張したまま固まり、次のような悪循環が起こります。

  1. 筋肉の緊張が続く
  2. 血流が悪くなる
  3. 酸素が届きにくくなり老廃物がたまる
  4. こりが生じ痛みが強くなる
  5. 痛みによってさらに筋肉が緊張する

1時間に1回は立ち上がって腕や首を回すなど、こまめに体を動かして血流を良くすることが、肩こりの対策に効果的です。

椅子を買わずにできる「ながらストレッチ」

高価な椅子を買わなくてもストレッチを取り入れると、肩こりを和らげることができます。

肩こりには肩甲骨まわりと胸の筋肉の運動が効果的です。

肩甲骨は肩や首の筋肉と密接につながっています。肩や胸の筋肉が縮こまると肩が内巻きになり、肩こりを引き起こしますそのため、ストレッチを定期的に取り入れて、固まってしまった筋肉をほぐすことが重要です。

デスクワークの合間に「ながら」でできる2つのストレッチを紹介します。

引用:職場におけるストレッチ|洛和会京都健診センター

肩甲骨はがし

肩甲骨まわりを意識的に動かして筋肉をほぐし、血行を促すストレッチです。

下記のステップを30秒×3セットを目安に行います

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る
  2. 両腕を肩の高さに上げて肘を軽く曲げる
  3. 両肘を後ろに引いて肩甲骨をギュッと寄せる
  4. そのまま5秒キープしてゆっくり元に戻す

椅子に座ったまま試せるため、仕事や作業の合間に取り入れてみましょう。

大胸筋ストレッチ

胸まわりを開くストレッチを取り入れると、肩の可動域が広がり、姿勢が整いやすくなります。

  1. 椅子に浅く腰掛ける
  2. 背筋を伸ばす
  3. 両手を後ろで組み、肩甲骨を寄せるようにして胸を開く
  4. そのまま10秒間キープしてゆっくり元に戻す

胸の筋肉を伸ばすと、巻き肩の改善に効果があります。肩甲骨周りをほぐして、肩こりを予防しましょう。

肩が軽くなると気持ちも変わる

私自身もデスクワーク歴が長く、在宅で仕事をしているため、肩こりに悩まされています。

特に集中しすぎて体に力が入っていると筋肉が硬直し、肩がずしんと重くなる実感も。そんなときは、お茶を淹れて一呼吸置いたり、立ち上がってストレッチで肩をほぐしたりしながら、体とメンタルを整えて仕事と向き合うようにしています。

正しい姿勢がとれると呼吸が深くなり、イライラが減って仕事にも前向きに取り組めるはずです

椅子より先に姿勢を改善しよう

肩こり対策のために大きな出費をする前に、姿勢を改善できる方法があります。

まずは、次の3点を見直してみましょう。

  • モニター:目線の高さに調整
  • キーボード:肘が90度になる位置へ
  • 足元:膝を90度にして足の裏を接地

小さな投資で在宅ワークの作業環境を快適にするだけでも、体への負担が軽くなります

正しい姿勢をキープして、定期的にストレッチを取り入れながら在宅ワークの疲れを和らげましょう。

 

文/Haruhiko Twitter@haruhikowriting