話が上手な人に惹きつけられたり憧れたりしても、聞き上手になりたいと思う人は少ないかもしれません。「聞き上手」というと、少し地味に思えるかもしれませんが、実はこの「聞く力」を持つことは、人間関係や恋愛においても成功の秘訣です。
なぜなら、誰もが「自分の話を聞いてもらいたい」と思っているからです。
本記事では、聞き上手になるメリットや実践しやすいテクニックについて紹介しますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
聞き上手になるメリット
周りを見渡したときに、話し上手な人の顔は思い浮かんでも、聞き上手な人をパッと浮かべることは難しいのではないでしょうか。
そう、「聞き上手」は貴重な存在です。だからこそ、「聞く力」を磨き、周囲から求められる存在になりましょう。
ここでは、聞き上手になることで得られる具体的なメリットについて詳しく解説していきます。
1. 会話のプレッシャーからの解放
聞き上手のポジションを取ると、「何か喋らなきゃ」と焦ったり、「相手を楽しませなきゃ」と無理する必要がなくなります。
語彙力も少なくて大丈夫。聞く姿勢を持って「そうなんだ」とか「すごいね」という相づちで相手の話題を引き出すことも可能です。
また、会話が途切れた時の沈黙でプレッシャーを感じるのは主に話し手側です。そんなときも、ただ静かに待ってあげたり「ゆっくりで大丈夫だよ」といった言葉を使いながら、聞いている姿勢を持つだけで相手にリラックスしてもらえるでしょう。
2. 口下手でも大丈夫
話すのが苦手な人にとって、これは特に大きなメリットです。相手が話しやすい環境を作るだけで、会話は自然と進んでいきます。
「私は話すのが苦手で…」と悩んでいた人でも、相手の話にうなずきながら、適切なタイミングで質問をするだけで十分です。相手がどんどん話してくれるようになると、自然と会話が弾み、「実は楽しく話せた」という経験につながるかもしれません。
3. 会話の主導権を握れる
これは意外かもしれませんが、会話をコントロールしているのは聞き手側です。
普段は口数が少なくても、ある特定の人と話すと会話が弾むことはないでしょうか。それは、聞き手が会話を上手にコントロールしているからこそ生まれる現象です。
具体的には、質問の仕方や話題の選び方によって、会話の方向性を決められます。
例えば、「それで、その後どうなったの?」と質問すれば、相手はその話題についてさらに詳しく話せるようになります。逆に、「そういえば、最近ハマってることはある?」と聞けば、全く新しい話題にも展開できます。
4. 信頼関係が築ける
誰しもが「自分の話をちゃんと聞いてくれている」という存在に好感を持ちますよね。
例えば、友人が悩みを打ち明けてきたとき、その話をしっかり聞き、共感や肯定を示すことで、「この人なら理解してくれる」という感情が生まれます。
そうすると、次にも相談したいと思うようになり、より深い関係性が築かれていくでしょう。
5. 自己成長にもつながる
会話はインプットの機会でもあります。聞き手側に周り、相手の話を深掘りする中で、インスピレーションが得られた経験はないでしょうか。
例えば、趣味の話を深掘りしていくと、その分野に興味を持ったり「自分も何か新しいことを始めてみよう」というきっかけになるかもしれません。
承認欲求に寄り添う
承認欲求という言葉をよく耳にするようになりました。私たちは自分の価値や存在を認めてもらいたいという欲求を常に抱えています。
だからこそ、相手を承認して、自己表現の場を与えてあげることが重要です。
聞き上手な人は、相手が心地よく話せる空間をつくり、その話を肯定的に受け入れます。
相手に「自分は大切にされている」と伝わると、自然と好意を抱かれるようになるでしょう。
聞き上手になるポイント
聞き上手な人の特徴はズバリ、タイミングです。つまり会話を邪魔しないこと。
個人的にもコミュニケーションで気をつけているポイントは「話を遮らない」ということです。
聞きたいことが思い浮かんでも、一旦最後まで話を聞く。一度肯定してから質問するなど。途中でカットインして話をハイジャックしないないように気をつけましょう。
また、アドバイスも良い面と悪い面があります。求められていないアドバイスはかえって逆効果であることが多いです。
特に、身近な恋人や家族、友人との間では、つい意見をぶつけ合ってしまうことが多いですよね。大切なのはまず肯定すること。
好きなものや嫌いなものを具体的に説明するのは意外と難しいものです。好きだから好き、という感情に正論をぶつけられても納得されないことがほとんどです。
だからこそ、まずは相手の感情に寄り添うことが必要になってきます。
無理に何かの理由を聞き出したり、正論で納得させようとするのではなく、「そうだね」「わかるよ」と共感することが、信頼関係を深めるための第一歩です。
すぐに実践できるテクニック
ここからは今日から実践できる具体的なテクニックをご紹介します。少し意識すると、よりスムーズな会話ができるようになるので、ぜひ試してみましょう。
1. ペーシング:相手に合わせる
ペーシングとは、相手の話し方や態度に合わせて自分のコミュニケーションを調整する技術です。心理学やカウンセリングの領域でも用いられるこのテクニックは、相手にリラックスしてもらい、信頼関係を築くために効果的です。
話す速度を合わせる:相手がゆっくり話している場合には、自分も話すスピードを落とすことで、相手にスペースや余裕を与えます。逆に、相手が早口で話しているときには、自分も少しテンポを上げて会話に合わせてみましょう。
トーンや音量を合わせる:相手の声のトーンや音量に合わせることで、相手がよりリラックスしやすくなります。たとえば、相手が穏やかな声で話している場合、自分も同様に落ち着いた声で返すのがこちらのテクニックです。
ジェスチャーを合わせる:相手のジェスチャーやボディランゲージに合わせて自分のジェスチャーも調整すると、相手とのリズムを合わせられます。例えば、相手が手を使って話しているなら、自分も自然に手を使って話すことで、共感を示す効果があります。
感情の表現を合わせる:相手が喜びや悲しみなどの感情を表現している場合、その感情に共感し、自分も似たような感情を表現すると、より深い理解が示せます。たとえば、相手が嬉しそうに話しているときに、自分も笑顔で応じると、感情の一体感を感じてもらえます。
2. リフレクティブリスニング(反映的傾聴)
相手が話した内容を、自分の言葉で繰り返し確認することで、相手が「自分の話がちゃんと理解されている」と感じます。
例えば、「それって大変だったんだね。どう乗り越えたの?」といった形で相手の感情に寄り添った質問をすると、会話が深まります。
3. うなずきや相槌を効果的に使う
うなずきや「そうなんだ」「うんうん」といった相づちを適度に入れると、相手は「自分の話がちゃんと聞かれている」と感じ、さらに話したくなるものです。ポイントは、自然でリズミカルな相槌を入れることです。
4. 質問を上手に使う
「オープンクエスチョン」を使うと会話が広がります。オープンクエスチョンは「はい」や「いいえ」では答えられない質問です。例えば、「それってどんな感じだった?」や「そのとき、どう思ったの?」といった質問を使うと、会話が広がりやすく話し手側も自分の感情を深掘りできるようになります。
5. アイコンタクトを保つ
聞き上手な人は、アイコンタクトをしっかり保ちます。相手が話している間に目を合わせると、「あなたの話に集中しています」というメッセージを無言で伝えられます。
アイコンタクトの他にも、表情、姿勢、ジェスチャーなど、言葉以外の手段を通しても多くの情報を伝えています。
聞き上手になるためには、言葉だけではなくノンバーバル(非言語)コミュニケーションも意識してみましょう。
真の聞き上手とは
真の聞き上手は「言葉」を聞くのではなく、「感情」が聞ける人です。恋人や友人との会話の「言葉」や「内容」はしっかりと把握できていても、その裏側にある「感情」に意識が置けているでしょうか。話を聞いて欲しい人は、内容よりも感情を知ってほしいと思っているはずです。
とはいえ、愚痴や興味のない話を聞くのは正直言ってつまらないもの。ただ、その愚痴の裏側にある感情に注目してみると面白い話が聞けるかもしれません。
例えば、友人や恋人が仕事の愚痴を言っている場面。表面的には「上司が理不尽だ」という内容かもしれませんが、その裏側にある感情はなんでしょうか。もしかすると「認められたい」「頑張りを評価してほしい」という気持ちがあるのかもしれません。
聞くことに意識を置くだけで、相手自身が気づいていない感情を引き出すこともあります。
相手は話しながら思考が整理でき、話しているうちに勝手に問題解決している場合もありますよね。
聞き手が相手の感情を引き出してあげるだけで、「相談に乗ってくれてありがとう」と感謝してもらえるようになります。
好かれようとしなくてOK。まずは身近な人から寄り添ってみよう
みんなから好かれる必要もないし、会う人全員の話を常に聞き続けるのもしんどいですよね。無理しなくて大丈夫です。
本当に大切な人の話を聞いてあげましょう。家族や友達、恋人など大好きな人の話を聞いてみてくださいね。分かってもらう前に分かってあげる意識。特に大切な恋人やパートナーとのコミュニケーションでは今一度、「聞く力」を持って接してあげましょう。
文/Haruhiko @haruhikowriting