
フェムケアという言葉を、以前より身近に感じるようになった方も多いのではないでしょうか。
デリケートゾーン用のソープや保湿アイテム、吸水ショーツ、骨盤まわりを意識したケアなど、さまざまな商品や情報を目にする機会が増えました。一方で、「これって本当に必要なの?」「今まで何もしてこなかったけれど、大丈夫?」と戸惑うこともあるかもしれません。
特に、40代以降は、月経周期の変化や乾燥、尿もれなど、これまでとは少し違う体の変化を感じやすくなる時期です。人には相談しづらいからこそ、ひとりで抱えてしまうこともありますよね。
けれど、フェムケアは「何か特別なことをしなければいけない」という話ではありません。自分の体の変化に気づき、心地よく過ごすために必要なことを、自分なりに選んでいく。そのくらいの距離感で考えてみると、ぐっと身近なものになるはずです。
本記事では、ミドル世代の女性が知っておきたいフェムケアの考え方と、自分の体との向き合い方について紹介します。
そもそも、フェムケアって必要?
結論から言えば、すべての女性に特別なフェムケアが必要というわけではありません。症状がないのに、周囲がやっているからと無理に始める必要もないでしょう。
フェムケアは、デリケートゾーンを含めた女性の体を健やかに保ち、変化や不快感に気づくための考え方のひとつです。洗う、保湿する、下着を見直す、尿もれについて知るなど、内容はとても幅広く、「これをすればフェムケア」という決まった形があるわけではありません。
大切なのは、商品をたくさん取り入れることではなく、自分の体に目を向けること。これまで気にしていなかった小さな変化にも、「年齢のせいだから」と片づけず、必要なら専門家に相談する。そんなきっかけとして捉えてみるとよいでしょう。
※参考:【専門医が教える】更年期を快適に過ごすフェムケア習慣とは?正しいやり方とおすすめ習慣 | UP LIFE | 毎日を、あなたらしく、あたらしく。 | Panasonic
「年齢のせい」で終わらせなくてもいい
40代、50代になると、「乾燥するようになった」「トイレが近くなった」「くしゃみをすると少し尿が漏れる」など、以前とは違う変化を感じることがあります。
更年期前後は女性ホルモンの変化が大きくなるため、月経だけでなく、肌や粘膜、泌尿器まわりにも変化を感じる人がいます。だからといって、つらい症状を我慢し続ける必要はありません。
「もう年だから仕方ない」とあきらめるのではなく、「今の自分にはこういう変化がある」と知ること。それだけでも、自分の体との付き合い方は変わっていきます。
必要なものだけを選べばいい
フェムケアという言葉を聞くと、専用ソープやオイル、クリームなどを一式そろえたほうがいいように感じるかもしれません。
でも、必ずしもそうではありません。今の自分に困っていることがなければ、普段どおりのやさしい洗浄と清潔を保つケアだけで十分な場合もあります。
反対に、乾燥やかゆみ、痛み、尿もれなどが気になるなら、セルフケアだけで済ませず、婦人科や泌尿器科などに相談する選択肢もあります。フェムケアは「何でも自分で解決すること」ではなく、必要なときに専門家を頼ることも含めて考えてよいのです。
ミドル世代だからこそ知っておきたい体の変化
40代以降は、これまで当たり前だった体のリズムが少しずつ変わっていく時期です。変化の現れ方やタイミングには個人差がありますが、「自分だけがおかしいのかも」と思わないためにも、どんな変化が起こり得るのかを知っておくと安心です。
月経だけでなく、デリケートゾーンにも変化が
更年期が近づくと、月経周期が不規則になったり、経血量が変化したりすることがあります。それに加えて、デリケートゾーンの乾燥や違和感を覚える人もいます。
これまで何ともなかった下着が気になったり、入浴後に乾燥を感じたり、性交時に痛みを感じたりすることもあるでしょう。
こうした変化を「仕方のないこと」と我慢する必要はありません。症状が続く場合や気になる場合は、婦人科に相談してみると、自分に合った対処法を知るきっかけになります。
尿もれも、ひとりで抱え込まない
笑ったときやくしゃみをしたとき、階段を下りたときなどに、少し尿が漏れてしまう。そんな経験があっても、「人には言えない」と悩んでいる女性は少なくありません。
骨盤底の筋肉や出産、更年期など、さまざまな要因が関係することがあります。症状によっては治療や運動などで改善が期待できる場合もあるため、生活に支障を感じるなら医療機関に相談してみましょう。
「漏れないように水分を減らす」といった無理な対策を続けるより、自分の状態を知ることのほうが大切です。
小さな変化を「記録」してみる
体の変化は、その瞬間だけを見ると気づきにくいものです。月経周期、出血の状態、痛み、乾燥、尿もれなど、気になることがあれば、簡単にメモしておくのもよいでしょう。
毎日細かく記録する必要はありません。「この頃から気になる」「月経前に強くなる」といった傾向が分かるだけでも、受診時に伝えやすくなります。
自分の体を観察することは、神経質になることではありません。今の自分を知るための、ちょっとした習慣です。
今日からできる、無理のないフェムケア
フェムケアを始めるなら、最初から特別なアイテムを買いそろえる必要はありません。毎日の暮らしの中で、体に余計な負担をかけないことから始めてみましょう。
洗いすぎないこともケアのひとつ
デリケートゾーンは清潔にしたいものですが、気になるからといって強くこすったり、洗浄力の強いものを使ったりする必要はありません。
ぬるま湯で流したり、刺激の少ない洗浄料を使ったりしながら、やさしく洗うことを意識しましょう。腟の中まで洗う必要はありません。
「きれいにしなければ」と頑張りすぎないことも、体をいたわる大切な考え方です。
乾燥が気になるなら、保湿を選択肢に
顔や手が乾燥したら保湿するように、デリケートゾーンの乾燥が気になるときには、専用の保湿アイテムを使う方法もあります。
ただし、かゆみや痛み、におい、出血などがある場合は、単なる乾燥とは限りません。保湿だけで様子を見るのではなく、症状が続くときは医療機関に相談しましょう。
「セルフケアで何とかしなければ」と考えすぎず、必要なところで専門家につなげることも、自分を大切にする方法です。
下着や衣類も「心地よさ」で選ぶ
毎日身につける下着は、思っている以上に体との距離が近いものです。締め付けが気になる、蒸れやすい、素材が肌に合わないと感じるなら、サイズや素材を見直してみましょう。
「ミドル世代だから、こういう下着を選ばなければ」と決める必要はありません。年齢よりも、自分が快適に過ごせるかどうかを基準にしていいのです。
「自分の体を大切にする」を、もっと気楽に
フェムケアという言葉が広がったことで、女性の体について話しやすくなったのはうれしいことです。一方で、情報が増えたぶん、「ちゃんとケアしなければ」「これもやったほうがいいのかな」と、かえって焦ってしまうこともあります。
でも、本来のフェムケアは、そんなに肩に力を入れるものではないはずです。
他人の「普通」を、自分に当てはめなくていい
更年期の症状も、月経の変化も、デリケートゾーンの状態も、人によって違います。
友人が「何も変化がない」と言っていても、自分には不調があるかもしれません。反対に、周囲がさまざまなケアを始めていても、自分には必要ないこともあります。
大切なのは、「みんなはどうしているか」より、「私はどう感じているか」です。人と比べるのではなく、自分の体の声を基準にしてみましょう。
「病院に行くほどではない」が、受診のきっかけになることも
婦人科は、何か重大な病気があるときだけ行く場所ではありません。「最近少し乾燥する」「月経が変わってきた」「尿もれが気になる」など、気になる変化を相談することもできます。
もちろん、すべての変化に受診が必要というわけではありません。ただ、気になっていることを何年も我慢するくらいなら、一度相談してみる。そのくらい気軽に考えてもよいでしょう。
自分の体について知ることは、不安を増やすためではなく、安心してこれからを過ごすための準備でもあります。
「これからの自分」をいたわる時間にする
20代、30代の頃と同じように動けなくなったり、体調の波を感じたりすると、「昔はこんなこと気にしなかったのに」と少し寂しくなることもあるでしょう。
でも、年齢を重ねたからこそ、自分の体の変化に気づけるようになったとも言えます。
今日は少し疲れているから早く寝る。乾燥が気になるからケアをする。いつもと違う症状があるから病院に相談する。そんな小さな選択の積み重ねが、これからの自分をつくっていきます。
まとめ
フェムケアは、すべての女性が特別なことをしなければならないというものではありません。大切なのは、年齢とともに変化する自分の体に気づき、「今の私には何が必要なのか」を考えてあげることです。
洗いすぎない、乾燥が気になれば保湿する、心地よい下着を選ぶ。気になる症状があれば、ひとりで抱え込まずに医療機関へ相談する。どれも立派な自分の体との向き合い方です。誰かの正解をそのまま取り入れなくても大丈夫。昨日まで何もしていなかったとしても、今日から少しずつ、自分の心地よさを基準に選んでいけばいいのです。
年齢を重ねることは、体が変わっていくことでもあります。でも、その変化を知るほど、自分に合った過ごし方も見つけやすくなります。
これからも自分らしく、心地よく過ごしていくために。まずは、「最近、私の体はどうかな」と、自分自身にそっと問いかけるところから始めてみませんか。
文/AKI